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アラスカ4 デナリ国立公園 ツンドラハイク編 2014.6.26-28
2022/01/11

I went hiking on tundra in Denali national park!
Tundra is very soft touch land and beautiful bright wet green.
I really like it!
デナリ最終章はツンドラハイキングの報告です。
デナリ国立公園は、とてもユニークな運営をしています。公園を走る150㎞ほどの道路はほとんどが未舗装・砂利道のガードレールもない自然道。というのも、公園のほんどが永久凍土の上にあり、季節ごとの周期的な凍結融解に対するメンテナンスがほぼ不可能なようです。また基本的に一般の車の乗り入れは禁止されており、観光シーズンは公園内を運行するバス、または徒歩・自転車でしか入ることができません。
私がデナリ公園で一番驚き感激したのが、この一本道の未舗装の車道を除いて、公園内にほぼトレイルがない!ということです。
つまり、いつ自然に還ってもおかしくない土道が一本ある以外は、何千年も変わらない手つかずのアラスカの野生がそのまま広がっており、「デナリの自然を楽しみたい人は、好きなところでバスを降りて、ツンドラの上でも、森の中でも、雪の上でも、どうぞ自由に歩いてください」ということなのです。人が歩くダメージなど、クマやカリブーが歩くダメージほどもない、というアラスカの野生の強さがあってこそ、そしてそこを訪れる人たちへの十分な注意喚起活動と訪問者の自主性があってこその在り様なのです。
もちろん、ゴミや排泄物を残してはダメ、複数で歩くときは植生にダメージを与えすぎないように前の人の通った後には続かず、別のルートで広がって歩く、などのいくつかのルールはあります。けれど、環境保全のため「トレイルを外れるな」という常識をもち、いつもトレイルの上から森や山を眺め、自然に囲まれている喜びの反面、どこか自然の傍観者であるような寂しさを感じていた私にとっては、ずっと昔から変わらない自然のままのアラスカの大地に己の足で立ち、動物たちと同じように動き回れる幸せは何にも勝る喜びです。
とはいえ、なんせ広大な公園内に走っている道は一本だけ。帰りたくなったら、道に戻ってバスを捕まえればよい、とはいうものの、いくつかの丘を登れば道は途端に見えなくなり、自分がどこにいるかすぐにわからなくなります。ましてや、何千頭のクマやムースの生息地、一人で歩く自信はなく、公園のレンジャーがガイドをしてくれるハイキングに参加しました。

デナリでの行動最終日、ようやく雨があがり青空が垣間見える中、ツンドラの大地をレンジャーともにドンドン歩いていきます。低木の茂みのある箇所では、グリズリーが昼寝をしている可能性があるため、「HELLO Bear」と声を出しながら進んでいきます。
昨日まで雨に濡れそぼっていたツンドラに咲く小さな花々も青、ピンク、黄色と夏の日差しに応えるように輝きます。特に惹かれたのは、岩に貼りつくように生えた苔に咲く小さなピンクの花。直径15センチほどの小さな苔ですが、レンジャー曰く、この大きさに育つのに200年は掛かっているとか。永久凍土の上、氷河とともに流され小さく砕かれた岩の上、長い冬に雪が降り積もっては短い夏に溶け出す。そんな大地に苔や藻類が静かに広がり、やがて他の植物が根を張る土壌となる。
地球が生み出した宝物のような世界を歩いているのだと感じます。フカフカの苔や低木、小さな花々をゴメンゴメンと踏みしめながら進んでいると、自分がこの大地の上でクマやカリブーと変わらない哺乳類の一種に過ぎず、小さな生命であることが嬉しくなります。自然を守るとか、共存するとか、なんだかそんな考え方さえおこがましく感じるような瞬間です。





デナリ国立公園は、たしかにユニークな運営方法と、レンジャーはじめ多くの人の手により、あるがままの野生を楽しめる場所として残されています。ただ、デナリ公園を出ても、実はまだまだアラスカ山脈はつづき、デナリへとつづくハイウェイを除くと小さな道がいくつかあるだけで、ほとんどが野生のままに残されています。
この大きなデナリ国立公園でさえ、アラスカの国立公園の中では4番目の大きさだといいます。アラスカは、逞しい野生の中で、人が借り物のようになんとか居住スペースを確保して暮らしているようで、ほんの数年人が住まなくなった場所は、すぐに野生に覆われそうな力強さを感じます。
私にとって、この旅2か国目(イノウエ基準でアメリカ本土とアラスカは別物です)にして、早くも「還るべき場所」になってしまいました。